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家賃侍が不動産業界を斬る!第9回 住宅・土地統計調査を斬る!

家賃侍が不動産業界を斬る!

第9回 住宅・土地統計調査を斬る!

平成20年は、5年に1度の住宅・土地統計調査が行われる年。
この調査によって、日本の住宅の数、住宅の種類、居住している世帯の状況、土地の保有状況など私たちの住生活に関するいろいろなことが見えてきます。

その中でも注目すべき点は、【住宅ストック数】です。
これは、住宅数を世帯数で割った数で、世帯数と住宅数の関係を示している指数です。
昭和38年に1世帯当たりの住宅数0.97だった指数が、昭和43年には1.01となっています。これは昭和43年時点ですでに住宅数が世帯数を上回っていたことを示しています。
そして前回の調査(平成15年)で指数は1.14となっており、件数にすると約700万戸もの住宅が世帯数よりも多く供給されたことになっているのです。

私はこの数字を見た時、
「住宅を探す際、選択肢が増えて自分の要求を満たす物件が見つかりそうだな」
「住宅を購入する場合、市場競争がおこり、リーズナブルな価格で購入できる可能性が増えるだろうなあ」
「売れ残りや空室が多くなるんだろうな」
「中古住宅も多くなるんだろうなあ」
など思いました。

ところで現在の日本では住宅を購入すると、その家で一生住み続ける方が多いと思います。
しかし欧米では、一つの住宅にずっと住み続けるというよりも、買い替えを繰り返し、何度も住まいを変える傾向があるようです。
日本も今後『200年住宅制度』ができることで、今よりもさらに優良で格安の中古住宅が出回り、欧米のような傾向になると考えられます。

そのときに重要になってくるのが資産価値です。

日本における「滅失住宅の平均築後年数」は約30年であり、アメリカの約55年、イギリスの約77年と比較して著しく短いのです。これは、国民が生涯にわたる労働の対価として取得した住宅が一代(30年)限りで取り壊され、あるいは、30年かけて住宅ローンをようやく完済した時には住宅資産がゼロになっていることを意味します。

住宅ローンを払い終わったのに資産価値がゼロであるならば、賃貸で借りていた方が良いのではないかという考え方にもなります。実際、不動産投資をしている方で自分の家は賃貸だという人は結構多いのです。購入した不動産を自分の家として使っても賃料収入が入ってくるわけではないからです。

さて、前回の調査では700万戸もの住宅が世帯数よりも多く供給されたわけですが、数字だけ見るならば供給過多ということになります。ということは、単純に考えて住宅の値段も低くなり、住宅を購入する人が多くなり、賃貸で生活する人が少なくなって、空室率が増えるということになります。つまり不動産投資を行う上では住宅ストック数の増加はあまり良い傾向ではありません。

ただ住宅ストック数だけをみると不動産投資は儲からなくなると思われますが、もちろんそうではありません。違った角度からみると、不動産投資にも価値が見出せることはできます。たとえば、地域格差。人が集まる地域と人が減っていく地域では、不動産の価値もまた異なってきます。このように様々な要因を見極めていくことで、不動産投資もおもしろくなるのかもしれません。

住宅・土地統計調査は総務省のホームページからみることができます。
不動産投資の参考になるかも…です。

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